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5.根回しがお上手ですね②

ผู้เขียน: 鷹槻れん
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-06-04 15:52:37

 うなぎ、という単語で条件反射的にヨダレが出てきちゃうとか……! 私ってばパブロフの犬みたいだなって嫌になる。

 うなぎ屋に連れて行かれる前に御神本(みきもと)さんから子犬に例えられて、頭を撫でられまくったのを思い出した私は、何故かドキドキして焦ったの。

 わ、私、犬じゃないしっ。こんな意味不明な男をご主人様と定めてときめく……じゃなくてっ! な、懐くなんてあり得ないんだからねっ!?

***

「――び輪がまだなのが気になってるんなら明日にでも見に行こう」

 私の戸惑いを、勝手に妻としての体裁が整っていないことか何かだと勘違いしたらしい御神本さんが、そう言って気遣わしげに頭を撫でてきて。

 ふわりと漂う例のいい香りに心臓バクバク。そのくせ口の中にはじわりと生唾が滲んで……ときめきたいの、餌付けされたいの、どっちなの!?と叫びたくなる。

 いや、だからこの人、私のご主人様じゃないんだからね、しっかりしなさい、花々里(かがり)!

 ちょっと美味しいものを立て続けにもらったからってチョロすぎるでしょ!?

 そのせいで彼を跳ね除ける動作が遅れてしまうとか、情けなさ過ぎる――。

「わ、私っ、犬じゃないので首輪は!」

 何とかそう言って、彼の手をスパーン!と払い除けたら「ん? 花々里は首輪が欲しいのか?」と、その手を握られて間近で首を傾げられた。

 だから要らないって話なんですってばっ!

「俺は妻に首輪をつける趣味はないから……そこはネックレスで妥協してもらえると助かる。ネックレスなら指輪を見繕うついでに一緒に買ってやれるしな」

 とか。

 ちょっと待って、ちょっと待って。

 話、聞いて?

「なっ、んで。指輪とか首輪とかネックレスとかプレゼントしてくれる話になってるんですかっ?」

「――? だから首輪は却下だという話なんだがね? 花々里こそ俺の話を聞いているか?」

 ひーん。

 なんか話が劇的に噛み合いませんっ!

「と、とりあえずっ! 気持ちを落ち着かせるためにさっきの飴、もうひとつずつもらっていいですか?」

 腹が立ったので、どさくさに紛れて言ってやったわ。

 ふふふふふ。

 私、賢いっ!

 余談だけど、私、桃味の飴の方が好き!

 酸味も少ないし、何より香りがいいもの。

 そう思って、口の中がすっかり桃飴気分になっていたんだけど。

「すまん。飴はどちらも車に置いてきてしまった」

 と言われてガッカリ。

 あからさまに意気消沈した私に、御神本さんが「代わりと言っては何だが、山陰の方の知り合いから清水羊羹(きよみずようかん)の美味いのが届いていてね。――それなんかどうだね?」

 と提案してきて。

「私、端っこに砂糖が粉をふくような羊羹(ようかん)が大好きなんですけどっ」

 「羊羹」と言う単語に、思わず勢い込んで御神本さんを見上げて好みを告げたら、「保証しよう」とにっこりされた。

 どうしよう。私、美味しいものをあげると言ってくる時の、彼の笑顔が好きかも知れません。

***

 食べるなら中へどうぞと背中を押されて、私、さっき外から見て凄いっ!って感心しまくった日本家屋の一室――多分客間?にいます。

 あれ? ちょっと待って? 何、まんまとそそのかされて家に連れ込まれてるの、私っ。

 美味しい羊羹をいただいたら、着替えとか勉強道具とかないので……って適当なことを言ってさっさとトンズラ……じゃなくてお暇しよう。

***

 目の前に、お手伝いさんと思しき優しそうなお婆さんが淹れてくださったお茶が置かれている。

 茶托にのった、ふた付きの茶器。

 それだけで、何だかいつも飲んでいる我が家の番茶とは格式が違うように思えてしまう。

 そもそも私、何でもかんでもお気に入りの猫さんマグカップで飲んじゃってるし。

 正面に座した御神本さんに、「冷めないうちに」と促されて、蛍が飛び交っているみたいな模様の入った茶器――萩焼と言うんだとか――のふたをとったら、待ち構えていたみたいにゆるゆると湯気が立ち昇った。

 綺麗なうぐいす色の、上品な香りのお茶だ。

 きっと我が家には無縁のいい茶葉なんだろうな。

 そう思ったら飲まなきゃもったいないって思ってしまって、「いただきます」をして口に含んだの。

 舌の両側に染み渡るようなトロリとした独特な甘味。こんな美味しいお茶、初めて飲んだかも。

 ほぅ、っと息をついたら「落ち着いたか?」って真っ直ぐな目で御神本さんに見つめられて。

 彼も私と同じようにお茶を飲んでいるけど、やはり所作が美しくて、同じ茶器のはずなのに私が手にした時より数倍気品がプラスされて感じられる。

 美形の若様ステータス、ホントずるいな。

 でも、今回のメインは当然だけどこのお茶じゃない。

 お茶だけで落ち着くとか、ないんだからっ。

 私は彼の美貌に惑わされずに、ちゃんとまだ落ち着いてませんよ?と言う意思を持って小さくフルフルと首を横に振ったの。

「――そちらもどうぞ召し上がれ」

 それで私の言わんとしていることが分かるとか。御神本さんもなかなかだわ。

 お茶の横に添えられた羊羹に視線を流すと、にっこり笑ってゴーサインを出してくれる御神本さんに、思わず顔が緩みそうになる。

 今回は「待て」をしなくていいんですね?

 た、食べちゃいますよ?

 羊羹横に添えられた黒文字を手に取って、恐る恐る御神本さんを窺い見たら、もう一度うなずかれた。

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